研究内容 | 中性子光学研究室 | 茨城大学

Research in Neutron Optics Laboratory

大強度陽子加速器施設J-PARC（Japan Proton Accelerator Research Complex）は、原子・分子の構造観察から物質・生命の起源を探る研究や、素粒子や原子核の研究から宇宙の始まりの謎を解く研究を進める、最先端の研究施設です。

我々は世界最強のパルス中性子源である物質生命科学実験施設(Material and Life science Facility : MLF)にて中性子ビームを用いた実験を行なっています。

中性子はスピン1/2を持つのでスピン状態は±1/2のどちらかの状態をとります。中性子スピン方向が揃っている中性子ビームは偏極中性子ビームと呼ばれます。

偏極中性子ビームは結晶中の磁気的構造の解析、物質中の磁場イメージング、基礎物理分野などにおいて広く用いられており、その有用性が注目されています。

中性子スピンを揃えるには特殊な技術が必要です。中でも私たちは中性子偏極デバイスの一つである3Heスピンフィルターの開発に力を入れています。

3He原子核は自身と反平行のスピンを持つ中性子のみを吸収するという特性をもつため、ガラス容器に入れた3Heガスの核スピンを揃え、中性子ビームを透過させると中性子ビームを偏極させることができます。

3Heの核スピンを揃えるために大強度レーザーを用いた、スピン交換法(Spin Exchange Optical Pumping : SEOP)を使います。

3Heスピンフィルターは量子線技術、レーザー光学技術、真空技術など最新技術の集合体と言えます。